夢渡りのバク


「右の方、あっちの道から焦げたような臭いがするよ……着いてきて!案内する!」


「えっ……臭い?」


パタパタと先陣を切り駆けていくアタシ。

その後をお父さんたちが慌てて追いかける足音が、静かな悪夢に響いた。

数メートル離れた、一本の入り組んだ道を進む。

悪夢の中では疲れを感じにくいから、たくさん走れて気分がいい。

そうして立ち止まった先で、アタシは誇らしげにお父さんたちを振り返った。

すぐ真横には、黒いハート型をした手のひらサイズの悪夢の核が浮かんでる。


「こいつは驚いたぜ……まさか本当にあるとは。夢芽ちゃんには核のありかが分かるのかい?」


ポリポリと頭を掻く遠夢のおじちゃんに、アタシは両手を後ろで組んで胸を張った。


「えへへ、なんとなく分かったの!ここに悪夢の核が……モヤモヤした心があるなーって」


「なんてスゴい才能かしら!将来が楽しみだわ~」


近夢のおばちゃんが柔らかに微笑み拍手をくれる。

お父さんがもう一度、アタシの頭を撫でてくれた。


「夢芽。お前にはバクとしての才能があるんだな……うん、これなら安心してお前を初仕事に送り出せそうだ」


「えっ、本当……!?アタシにもバクのお仕事ができるの!?」


「まだ“見習い”としてだけどね」


それでも充分。

アタシもついにバクとしてお仕事ができる……!

それがただ嬉しかった。


「そうなると夢芽の仲間も決めないといけないね。日程はまた考えるとして……今は目の前の核を片づけなければ」


そう言ってお父さんは黒いハートにかじり付く。