お風呂に入って、髪を乾かして歯を磨いて。
寝る準備を整えたアタシたち見習いバクは、お父さんの部屋に呼び出されていた。
「3人共、集まってくれてありがとう」
部屋着用にしている柿色の着物をまとったお父さんは座椅子に腰かけアタシたちを迎え入れた。
正座した足の下に、畳の固さを感じながら背筋を伸ばす。
チラリと両隣を見ると、十和くんとめい子ちゃんもアタシと同じように座っていた。
お父さんはそれを見て「緊張しなくていいからね」と微笑み、言葉を続ける。
「みんなの足が痺れる前に本題に入ろう。……今日から3人には見習いバクとして、初仕事に挑んでもらいたいんだ」
「えっ……今日から?」
いち早く戸惑いの声を上げたのはアタシだった。
「おや?夢芽は喜んでくれると思ったんだけど、やはり急すぎたかい?」
「あ、いや!スゴく嬉しいよ――でも……」
まだ2人のどちらとも打ち解けられていない今、バクの初仕事なんて……できるだろうか。
その不安はめい子ちゃんにもあったようで、彼女はお父さんに小さな声で意見した。
「あ、あの……バクはもう少し先でも良いんじゃないでしょうか?その、私たち、会ったばかりですし……見習いですし……」
その発言にお父さんは頷き、申し訳なさそうに眉を寄せた。
「すまない。そうしてあげたいんだけど、バクの仕事は年々忙しさが増していて……正直に言うと、深刻なんだ。見習いの手も借りたいほどね」
そう言われて、アタシは思い出す。
ここ最近、お父さんのバクの……夢渡りの回数が増え続けていたことを。



