魔法より、君に恋をする。

「そろそろいい?」

 ルシアンの声がした。

 二人で振り向く。

「何がですか?」

「いや。ずっと手を繋いでるから」

 リリアは下を見る。

 まだ繋いでいた。

「あ」

 離そうとした。

 しかし。

 カイルが離さなかった。

 リリアが彼を見る。

 カイルも自分の手を見る。

「……」

「クロフォード先輩?」

「……もう少し」

 ものすごく小さい声だった。

「え?」

「何でもない」

「聞こえました」

「忘れろ」

「嫌です」

 ルシアンが眼鏡の奥で笑っている。

「会長」

「何も言ってないよ」

「顔がうるさい」

「君に言われるとは思わなかったな」

 カイルはようやく手を離した。

 耳が赤かった。

 リリアは自分の掌を見る。

 温かい。

 少し前まで冷たかった手が、いつの間にか温かくなっていた。