魔法より、君に恋をする。

 セシルと次の休日に出かける約束をしてから、二日が経った。

 休日までは、あと三日。

 どこへ行くかはまだ決めていない。

「王都でいいんじゃない?」

 昼休み、向かいに座ったセシルが言った。

「この前ノアたちと行ったところ?」

「別の通りにしようか。服屋とか雑貨屋も多いし」

「甘いものある?」

「そこ重要なんだ」

「重要」

「あるよ。人気の喫茶店もあるらしいから、行ってみる?」

「行く」

 即答すると、セシルが笑った。

「じゃあ決まり」

「楽しみ」

「……うん。私も」

 最後の一言だけ、なぜか少し小さかった。

 隣で聞いていたノアが、パンを持ったまま二人を見る。

「二人で?」

「うん」

「僕は?」

「今回は二人」

 セシルがさらりと答えた。

「へえ」

 ノアは笑っている。

 笑っているのだが、妙に笑顔が綺麗だった。

「ノアも王都行きたいの?」

「行きたいけど、今回はやめとく」

「なんで?」

「僕にも空気を読む機能くらい搭載されてるから」

「?」

「リリアは気にしなくていいよ」

「そう?」

「うん。楽しんできて」

 そう言ってから、ノアはセシルを見る。

「ね、セシル?」

「……もちろん」

「何?」

「何でもないよ」

 二人の間で何かがあった気がする。

 けれど分からない。

「じゃあお土産買ってくる」

「それなら許す」

「何が?」

「こっちの話」

 最近、周囲に「こっちの話」が多すぎる。