魔法より、君に恋をする。

昼を過ぎる頃には、大通りの人出はさらに増えていた。

 三人は広場の噴水近くで休憩することにした。

「結構歩いたね」

 ノアが言う。

「学院より分かりやすい」

「王都の方が?」

「道がまっすぐだから」

「それでもさっき二回違う店に入ろうとしてたぞ」

「あれは気になっただけ」

「一軒目は帽子屋だったけど」

「帽子見たかった」

「二軒目は肉屋」

「肉も見たかった」

「無敵だな」

 セシルが笑う。

 リリアは噴水の縁に腰を下ろした。

 学院を離れて友達と出かけるのは、思っていたより楽しい。

 魔法書を読む予定を邪魔された時は少し不満だったが、今となっては連れ出してくれたセシルに感謝している。

「また来たい」

 リリアが言う。

 セシルがこちらを見る。

「今度も?」

「うん」

「……そうか」

 嬉しそうに笑う。

「僕もいるよね?」

 ノアがすぐに割り込む。

「来たいなら」

「そこは『もちろん』って言ってほしかった」

「もちろん」

「言わせた感じすごいな」

 三人で笑った。

 その時だった。

「ずいぶん楽しそうだな」

 聞き覚えのある声がする。

 振り向く。

 赤い髪が人混みの中でもやたらと目立っていた。

「アレン先輩」

「よお」

「何してるんですか?」

「こっちの台詞だ」

 アレンはリリア、セシル、ノアを順番に見る。

「三人で何してんだ?」

「デート」

 ノアが答えた。

「違う」

 リリアが即座に否定する。

「休日のお出かけ」

「三人で?」

「はい」

「……ふーん」

 なぜか機嫌が悪くなった。

「先輩は?」

「買い物」

「一人で?」

「悪いかよ」

「寂しいですね」

「喧嘩売ってんのか?」

「一緒に来ます?」

 アレンが黙った。

「……いいのか?」

「別にいいですよ」

「じゃあ行く」

「即答ですね」

「うるせえ」

 結局、三人だったはずの休日は四人になった。