魔法より、君に恋をする。

その日の午後、一年生を対象にした探索魔法の実習が行われた。

 学院の敷地内には複数の魔力標識が隠されており、二人一組でそれを見つけて制限時間内に演習場へ持ち帰る。純粋な魔力だけではなく、探知能力や術式の精度も評価対象になるらしい。

「組み合わせは自由だ」

 教師がそう告げた瞬間、リリアの腕を誰かが掴んだ。

「リリア、組もう」

 ノアだった。

「早い」

「早い者勝ち」

「セシルに聞こうと思ってたのに」

「ひどい」

「だってセシル、道分かるから」

「僕も分かるよ」

「本当に?」

「僕への信用、低すぎない?」

「ノアもたまに適当だから」

「今日は絶対に迷わせない」

 妙に力強い。

 リリアは少し離れたところにいるセシルを見る。

 セシルはすでに別の女子生徒から声をかけられていた。視線が合うと、事情を察したらしく片手を上げる。

「じゃあノア」

「よし」

「なんでそんな嬉しそうなの?」

「デートだから」

「実習だけど」

「二人で学院を歩く」

「実習」

「目的地を一緒に探す」

「実習」

「見つけたら二人で帰ってくる」

「実習」

「夢がないなあ」

 ノアが笑う。

 リリアは教師から配られた地図を開いた。

「それより一位取るよ」

「さすが首席様」

「ノアもちゃんと探して」

「もちろん」

 開始の合図と同時に、二人は演習場を出た。