魔法より、君に恋をする。

合同授業が終わる頃には、演習場のあちこちから楽しそうな話し声が聞こえていた。

「リリア」

 セシルが戻ってくる。

「どうだった?」

「変だった」

「王子が?」

「違う。魔力」

 リリアが先ほど起きたことを説明すると、セシルは少し考え込んだ。

「相性がいいんじゃないか?」

「魔力に相性ってあるの?」

「あるらしいぞ。私は詳しくないけど」

「じゃあ調べる」

「やっぱりそうなるよな」

 セシルが笑う。

 そこへノアも戻ってきた。

「何の話?」

「リリアとレオンハルト先輩の魔力の相性がいいらしい」

「へえ」

 ノアは笑っていた。

 いつも通りの笑顔だった。

「良かったね、リリア」

「何が?」

「相性のいい人が見つかって」

「魔力の話だよ?」

「うん。魔力の話」

 ノアはそう答えたが、なぜかセシルが彼をじっと見ている。

「何?」

「別に」

「セシルまでそれ使うようになった?」

「便利だからな」

 まただ。

 最近、本当に多い。

「私、図書館寄って帰る」

「一人で?」

 セシルとノアの声が重なった。

「……行ける」

「今の間が怖いんだよ」

「図書館なら何回も行ってる」

「じゃあ道言ってみて」

 セシルに言われ、リリアは黙った。

「ほら」

「行けば分かる」

「一番信用できないやつだ」

「大丈夫。迷ったら人に聞く」

 昨日カイルに言われたことを思い出しながら答えると、セシルはまだ心配そうだったが、今日は剣術部の練習がある。

「本当に分からなくなったら戻ってこいよ」

「うん」

「知らない場所に突っ込むなよ」

「うん」

「暗くなる前に帰れ」

「私のお母さん?」

「お前が放っておけないんだよ」

 セシルはそう言うと、剣袋を肩に掛けて訓練場へ向かった。

 ノアも今日は用事があるらしく、校舎の途中で別れる。

「じゃあまた明日」

「また明日」

 手を振って別れたあと、リリアは一人で図書館へ向かった。