魔法より、君に恋をする。

 拠点争奪戦は。

 開始七分で、想定していたものとは違う形になった。

「リリア!」

「見えてる!」

 中央塔。

 三方向から敵が来る。

「人気だね!」

 セシルが剣を振るいながら笑う。

「嬉しくない!」

「リリア個人じゃなくて塔がね!」

「分かってる!」

 光弾を撃つ。

 一人を止める。

 セシルがもう一人へ踏み込む。

 三人目。

「後ろ!」

 リリアが振り向く。

 間に合わない。

 そう思った瞬間。

 風。

「危ないなあ」

「ノア!」

 銀青の髪が目の前を横切った。

 風刃が相手の魔法を逸らす。

「右は?」

「取った」

「早い」

「褒めて」

「すごい」

「もう一回」

「あとで」

「約束ね」

 ノアは笑うと、そのまま相手へ向かう。

「セシル!」

「うん!」

 背中合わせ。

 リリアが遠距離。

 セシルが近距離。

 昨日までなら。

 誰かがリリアの前へ出ていた。

 今日は違う。

「左お願い!」

「任せて!」

 自分から頼む。

 任せる。

 その代わり。

「セシル、後ろ!」

 光が飛ぶ。

 セシルの死角にいた相手の足元を撃つ。

「ありがとう!」

「どういたしまして!」

 守られるだけではない。

 守るだけでもない。

 一緒に戦う。

「……楽しい!」

「今言う!?」

「今思った!」

「私も!」

 セシルが笑った。