魔法より、君に恋をする。

 十五分。

『第十三部隊、二体目確保!』

 リリアとレオンハルトが戻る。

「あと一体!」

「アレン先輩たちが見つけたみたいだ」

「じゃあ勝てる?」

「まだ第二部隊が一体確保してる」

「三対一なら勝ち」

「運び切ればね」

 通信石。

 赤い光。

 三回。

 レオンハルトの表情が変わる。

「妨害を受けてる」

「行く」

「うん」

 二人で走る。

 途中。

 森林側からセシルとノアも合流した。

「アレン先輩たちは?」

「廃墟の北側!」

「第二部隊が三人向かってる!」

「急ごう!」

 四人で走る。

 廃墟が見える。

 その前。

 アレンとカイル。

 二人で救助対象を運んでいる。

 そして。

 第二部隊が三人。

「遅えぞ!」

 アレンが叫ぶ。

「ごめん!」

 リリアが杖を上げる。

「撃つ?」

「救助対象に当てないで!」

 レオンハルト。

「分かってる!」

 魔力を集める。

 でも。

 その瞬間。

「リリア」

 セシルが言った。

「私に任せて」

「一人?」

「ノア」

「はいはい」

 二人が前へ出る。

「三秒」

「また?」

「好きでしょ」

「まあね」

 ノアの風がセシルの背中を押す。

 速い。

 一人目。

 剣を弾く。

 二人目。

 身体を低くして抜ける。

 三人目が魔法を放つ。

「一」

 ノアの声。

 セシルが跳ぶ。

「二」

 空中で身体を捻る。

「三」

「《風路》」

 風が道を作る。

 セシルが着地。

 剣先が三人目の喉元寸前で止まる。

『第二部隊一名、戦闘不能判定』

「すごい」

 リリアが呟く。

「見惚れてる場合?」

 レオンハルトが笑う。

「残り二人」

「うん!」

 リリアとレオンハルトが同時に前へ出る。

 光。

 風。

 水。

 魔法が交差する。

「右!」

「分かってる!」

「上!」

「見えてる!」

 レオンハルトの障壁を足場に。

 リリアが跳ぶ。

「それあり!?」

 相手が叫ぶ。

「あり!」

「たぶんね!」

 レオンハルトまで笑っている。

 空中。

 杖を振る。

「《光輪》!」

 二つの光輪。

 相手の杖を弾く。

 着地。

 その瞬間、もう一人が背後へ回る。

「リリア!」

 アレンの声。

 振り向く前に。

 黒い剣が相手の攻撃を受け止めた。

 カイル。

「前だけ見ろ」

「でも」

「後ろは俺たちが見る」

 アレンが救助対象を片腕で支えながら笑う。

「さっさと決めろ!」

「うん!」

 リリアは前を見る。

 レオンハルトが相手の足を止める。

 ノアの風が逃げ道を塞ぐ。

 セシルが左を抑える。

 カイルが背後を守る。

 アレンが救助対象を運ぶ。

 誰も。

 リリアの前へ飛び出してこない。

 誰も。

 彼女を後ろへ押し込まない。

 ただ。

 任せている。

「《光槍》」

 一本。

 細く。

 正確に。

 相手の胸元にある判定石だけを撃ち抜いた。

『第二部隊一名、戦闘不能判定』

 残り一人。

 その生徒は。

 六人を見る。

「……無理だろ、これ」

「諦める?」

 リリアが聞く。

「君が言うと怖いんだけど!」

「普通に聞いた」

「顔が楽しそうなんだよ!」

「楽しい」

「知ってる!」

 最後の一人が、それでも杖を構えた。

「行くぞ!」

 六人が動く。