魔法より、君に恋をする。

 廃墟。

「壊すなよ」

「分かってる!」

「昨日壁を二枚壊した」

「今日は一枚も壊してねえだろ!」

「今のところはな」

「喧嘩売ってんのか!」

「前」

「分かってる!」

 炎を纏った拳が、敵の防壁を叩く。

 その横をカイルが抜けた。

 剣の柄で相手の杖を弾く。

「今だ!」

「言われなくても!」

 炎が地面を走る。

 相手の退路だけを塞ぐ。

「へえ」

 カイルが言った。

「何だよ」

「壊さなかったな」

「馬鹿にしてんのか?」

「褒めている」

「お前の褒め方腹立つ!」

『第二部隊一名、戦闘不能判定』

「でも勝った」

「ああ」

 二人は一瞬だけ拳を合わせる。

 そして。

「……」

「……」

「今の誰にも言うな」

「同感だ」