魔法より、君に恋をする。

 森林では。

「ノア、左!」

「了解」

 セシルの剣が枝を切る。

 落ちた枝の向こうから、第二部隊の一年生が姿を現した。

 同時に。

「後ろ」

 ノアが振り向かずに魔法を放つ。

 風の壁。

 背後から来た攻撃を防ぐ。

「二人か」

「挟まれたね」

「どうする?」

「三秒お願い」

「分かった」

 セシルが踏み込む。

 一人目の剣を受ける。

 二人目の魔法を紙一重で避ける。

 一対二。

 それでも。

「一」

 ノアの声。

 セシルが相手の剣を弾く。

「二」

 身体を沈める。

 魔法弾が頭上を通る。

「三」

 セシルが横へ跳ぶ。

「《風環》」

 ノアを中心に風が爆ぜた。

 二人の相手が同時に体勢を崩す。

「ありがとう」

「どういたしまして」

「じゃあ次、私」

「お願いします、王子様」

「あとで怒るよ」

「楽しみにしてる」

 セシルが笑った。

 剣閃が走る。