魔法より、君に恋をする。

 再試合は午後。

 午前中、第十三部隊には演習場の使用が禁じられていた。

「何で?」

 リリアが不満そうに言う。

「昨日異常に巻き込まれた部隊を、本番直前まで訓練させると思う?」

 ルシアンが答える。

「軽くなら」

「駄目」

「魔法一発」

「駄目」

「半発」

「どうやって撃つの?」

「弱くする」

「駄目」

「けち」

「何とでも言って」

 結局、六人は空き教室で作戦確認をすることになった。

 机を囲み、昨日の動きを整理する。

「救助対象二体までは、こっちが先に確保してた」

 レオンハルトが地図へ印をつける。

「問題は三体目」

「廃墟の地下にいた」

 カイルが言った。

「見つけたの?」

 リリアが聞く。

「ああ。中断直前にな」

「じゃあ今日も同じ?」

「配置は変更される」

 ルシアンが答える。

「昨日の情報をそのまま使えないようにね」

「残念」

「でも、相手の動きは見た」

 セシルが地図を覗き込む。

「第二部隊は救助対象を見つけたら、三人で運んでたよね」

「確実性重視だね」

 ノアが言う。

「一体ずつ確保する代わりに、失敗しにくい」

「私たちは二人」

「昨日はね」

「今日は変える?」

 リリアが聞く。

 レオンハルトが少し考える。

「最初は変えない方がいいと思う」

「同じ組?」

「相手も昨日の僕たちを見てる。なら、同じように動くと思わせた方が使える」

「途中で変える?」

「そう」

「どう変える?」

 レオンハルトが地図を見る。

「リリアを自由にする」

 全員が黙った。

「……いいの?」

 本人が一番驚いた。

「昨日までは中央や後衛に置こうとしてたでしょ」

「うん。でも」

 レオンハルトは笑う。

「君を固定するより、必要なところへ動いてもらった方が強い」

「危ない」

 カイルが言う。

「分かっています」

「単独行動は認めない」

「もちろんです」

「なら誰がつく」

「状況によって変えます」

 アレンが眉を寄せる。

「できんのか?」

「僕たちなら」

 レオンハルトは全員を見る。

「昨日まで、リリアを誰が守るかばかり考えてた」

「……」

「でも、それだとリリアの強さを潰す」

 リリアは黙って聞く。

「だから今日は、守るんじゃなくて使う」

「使う」

「嫌?」

「全然」

 むしろ。

 少し嬉しい。

「その代わり」

 レオンハルトの声が強くなる。

「一人にはしない」

「うん」

「誰かが必ず視界に入れる」

「うん」

「異常を感じたら即撤退」

「……うん」

「今ちょっと間があったね」

「気のせい」

「リリア」

「分かった」

「本当に?」

「分かったって」

 セシルが笑う。

「じゃあ私たちも、リリアを守るんじゃなくて一緒に戦う」

「うん」

「それならいい」

 カイルも最後には頷いた。

「勝手に消えるな」

「消えない」

「約束しろ」

「約束」

 カイルの表情が少しだけ緩む。

 ノアがそれを見て笑った。

「みんな約束好きになったね」

「誰のせいだと思ってる」

 アレンが言う。

 視線がリリアへ集まる。

「私?」

「お前だよ」

「何もしてない」

「それが一番たち悪い」

「失礼」