魔法より、君に恋をする。

 翌朝。

 リリアが目を覚まして最初に考えたことは、自分が何者なのかではなかった。

「……お腹すいた」

 昨日あれだけ深刻なことを考えていたのに、朝になれば普通に空腹だった。

 少しだけ可笑しくなる。

 ベッドから降り、顔を洗って制服へ着替える。鏡の中には、いつも通りの自分がいた。

 銀白色の髪。

 紫の瞳。

 見慣れた顔。

「リリア」

 自分の名前を呼んでみる。

 何も起こらない。

 当然だった。

「まあ、いっか」

 今のところ、この名前で十五年生きている。

 今日一日くらい、そのままで困らない。

 それより。

「試合」

 昨日は途中で終わった。

 今日は最後までやる。

 勝つ。

 そちらの方が、今のリリアにはずっと重要だった。