魔法より、君に恋をする。

 廃墟。

「右!」

「分かってる!」

 炎が石壁を砕く。

「壊すな」

「敵がいたんだよ!」

「迂回できた」

「面倒だろ!」

「救助対象まで崩れたら失格だ」

「分かってる!」

「分かってないから言っている」

「お前マジで――」

「前」

「あ?」

 カイルの剣がアレンの頬の横を抜けた。

 背後から迫っていた魔法弾を切り裂く。

「……」

「集中しろ」

「分かってるよ」

 アレンが舌打ちする。

 その直後。

「カイル、伏せろ!」

 呼び捨て。

 カイルは何も言わず身体を低くした。

 その頭上を炎が走る。

 隠れていた相手を吹き飛ばした。

『第二部隊一名、戦闘不能判定』

「借り一個な」

「さっきので相殺だ」

「細けえな!」

「お前が言った」

「……クソ」

 それでも。

 二人の口元には、ほんの少しだけ笑みがあった。