魔法より、君に恋をする。

「行くよ!」

 開始と同時に六人が散った。

 セシルとノアは森林へ。

 アレンとカイルは廃墟。

 リリアとレオンハルトは水路へ走る。

「リリア、右!」

「うん!」

 レオンハルトの声に従い、右へ跳ぶ。

 直後、さっきまでいた場所へ水の槍が突き刺さった。

「もう来た」

「第二部隊も分かれてるみたいだね」

 前方。

 二年生の男子生徒が一人。

 水属性。

「僕が止める」

「倒していい?」

「時間をかけないなら」

「分かった」

「待って、今の言い方は――」

 リリアが杖を振る。

「《雷鎖》」

 紫白色の雷が水路を走った。

「うわっ!?」

 相手の水魔法へ雷が伝う。

 一瞬で防御術式が崩れた。

「《風圧》」

 続けて放った風が相手を安全区域まで吹き飛ばす。

『第二部隊一名、戦闘不能判定』

「……」

 レオンハルトが黙った。

「時間かけてない」

「確かに」

「駄目だった?」

「いや」

 レオンハルトが笑う。

「完璧だよ」

「よかった」

「ただ、僕の出番がなかったな」

「次お願い」

「そうしよう」

 走り出す。

 水路の先に、青い光が見えた。

「あれ?」

「救助対象だ!」

 人工魔法体。

 人間と同程度の大きさをした人形が、崩れた橋の中央に倒れている。

 問題は。

「橋、壊れそう」

「そのようだね」

 足場には細い亀裂。

 下は水。

「飛ぶ?」

「救助対象を抱えて?」

「できる」

「君ならできそうなのが困るな」

「じゃあどうする?」

 レオンハルトは橋を見る。

「僕が固定する」

 金色の魔法陣が広がる。

 崩れかけた橋全体を光の膜が覆った。

「今」

「うん!」

 リリアが走る。

 中央まで行き、救助対象を抱える。

「重い」

「大丈夫?」

「大丈夫!」

 戻ろうとした瞬間。

 背後から魔力。

「リリア!」

 レオンハルトの声と同時に、防壁が展開された。

 激しい衝撃。

 第二部隊の別の生徒が対岸から攻撃している。

「救助対象を離さないで!」

「うん!」

「走れる?」

「走れる!」

「じゃあ僕だけ見て」

 リリアが顔を上げる。

 金色の魔力が道を作る。

「真っ直ぐ来て」

 迷わなかった。

 走る。

 背後から何度も魔法が飛ぶ。

 すべてレオンハルトが防ぐ。

「そのまま!」

 橋が軋む。

「レオン先輩!」

「大丈夫!」

 最後の一歩。

 リリアが地面へ飛び込む。

 救助対象を抱えたまま着地する。

 直後、橋が崩れた。

「取った」

 リリアが笑う。

 レオンハルトも笑った。

「さすが」

「レオン先輩も」

「何が?」

「ちゃんと守った」

「約束だからね」

 リリアは救助対象を背負い直す。

「じゃあ運ぶ」

「僕が持とうか?」

「持てる」

「知ってる。でも」

「じゃあ半分」

「半分?」

「一緒に持つ」

 レオンハルトが一瞬驚いて、それから笑った。

「分かった」

 二人で救助対象を支える。

「行こう」

「うん」