翌日の放課後、リリアは昨日と同じ生徒会室の前に立っていた。
今回は迷わなかった。
正確には、一度だけ中央階段を通り過ぎたものの、自力で間違いに気づいて引き返したので、本人としては迷っていない判定である。
「失礼します」
「いらっしゃい。今日は一人で来られたんだね」
扉を開けるなり言われ、リリアは眉を寄せた。
「どうして毎回、私が迷う前提なんですか?」
「昨日、女子寮と男子寮を間違えかけた人に言われてもね」
「あれはちょっと考え事してただけです」
「そういうことにしておこうか」
「その言い方嫌いです」
「知ってる」
昨日とまったく同じ返事だった。
リリアが睨むと、机で書類を整理していたルシアンが小さく笑う。
「冗談だよ。ちゃんと覚えていたんだね」
「先輩が変なこと言うからです」
「僕のせい?」
「かなり」
今日は生徒会長を示す上着を脱いでいるらしく、ルシアンは白いシャツに深紅のタイという簡素な姿だった。それだけで普段より少し年相応に見える。
リリアは昨日渡された銀色の札を取り出した。
「これ、持ってきました」
「なくさなかった?」
「子供じゃないです」
「方向音痴と物をなくすことは別か」
「当たり前です」
「それは失礼」
ルシアンは立ち上がると、机の上から鍵束を取った。
「では行こうか」
「はい」
「今日はちゃんと僕についてきて」
「昨日もちゃんとついていきました」
「男子寮へ向かおうとしていたけどね」
「それはもう忘れてください」
「善処するよ」
たぶん忘れる気はない。
リリアはそう判断した。
今回は迷わなかった。
正確には、一度だけ中央階段を通り過ぎたものの、自力で間違いに気づいて引き返したので、本人としては迷っていない判定である。
「失礼します」
「いらっしゃい。今日は一人で来られたんだね」
扉を開けるなり言われ、リリアは眉を寄せた。
「どうして毎回、私が迷う前提なんですか?」
「昨日、女子寮と男子寮を間違えかけた人に言われてもね」
「あれはちょっと考え事してただけです」
「そういうことにしておこうか」
「その言い方嫌いです」
「知ってる」
昨日とまったく同じ返事だった。
リリアが睨むと、机で書類を整理していたルシアンが小さく笑う。
「冗談だよ。ちゃんと覚えていたんだね」
「先輩が変なこと言うからです」
「僕のせい?」
「かなり」
今日は生徒会長を示す上着を脱いでいるらしく、ルシアンは白いシャツに深紅のタイという簡素な姿だった。それだけで普段より少し年相応に見える。
リリアは昨日渡された銀色の札を取り出した。
「これ、持ってきました」
「なくさなかった?」
「子供じゃないです」
「方向音痴と物をなくすことは別か」
「当たり前です」
「それは失礼」
ルシアンは立ち上がると、机の上から鍵束を取った。
「では行こうか」
「はい」
「今日はちゃんと僕についてきて」
「昨日もちゃんとついていきました」
「男子寮へ向かおうとしていたけどね」
「それはもう忘れてください」
「善処するよ」
たぶん忘れる気はない。
リリアはそう判断した。

