魔法より、君に恋をする。

帰り道。

 六人は途中まで一緒だった。

「明日も同じ時間でいいかな」

 レオンハルトが尋ねる。

「いいよ」

 セシルが答える。

「俺も」

 アレンが続く。

 カイルは短く頷いた。

「ノアは?」

 リリアが聞く。

「僕も平気」

「じゃあ決まり」

 初めての合同訓練は終わった。

 疲れているはずなのに、不思議と気分は軽かった。

「チームって楽しいね」

 リリアが言う。

「今さらそこ?」

 セシルが笑う。

「今まで一人でやる方が早かったから」

「実際、リリアなら大抵一人でできるだろうね」

 レオンハルトが言う。

「でも今日は、一人より楽だった」

 その言葉に、何人かがこちらを見た。

「何?」

「いや」

 ノアが微笑む。

「それならよかった」

 リリアは前を向く。

 一人でできることと、一人でやることは同じではないらしい。

 アレンの炎の癖も。

 カイルがどの距離なら剣を振りやすいのかも。

 ノアがいつの間にか死角へ回り込むことも。

 レオン先輩の声が、戦っている最中でも不思議なくらいよく通ることも。

 セシルが自分だけでは見えない場所を見てくれていることも。

 今日、初めて知った。

「明日はもっと上手くできそう」

「負けず嫌いだな」

 アレンが言う。

「勝ちたいから」

「誰に?」

「全部」

「雑だな」

「分かりやすくていいだろ」

 カイルが言った。

 アレンが隣を見る。

「お前、たまにこいつに甘くねえ?」

「そうか?」

「そうだろ」

「アレン先輩も甘いよ」

 リリアが言う。

「は?」

「苺くれるし」

「あれとこれとは――」

「ノアも」

「僕も?」

「セシルも。レオン先輩も。クロフォード先輩も」

「何の話になってるの?」

 セシルが笑う。

「みんな優しいって話」

 リリアはそう言って、少し先を歩いた。

 後ろが妙に静かになったことには気づかなかった。

「……無自覚って怖いね」

 ノアが呟く。

「同感」

 セシルが小さく笑った。

「お前らと一緒にすんな」

「誰も君の名前出してないよ、アレン」

「うるせえ」

「静かにしろ」

「クロフォード、お前は黙ってろ」

 また始まった。

 リリアは振り返り、思わず笑った。

 まだまとまってはいない。

 けれど、昨日までより少しだけ近い。

 それで十分だった。