魔法より、君に恋をする。

二度目の訓練を終える頃には、最初とは見違えるほど動きが噛み合っていた。

 完璧ではない。

 アレンとカイルはまだ時々進路が被るし、ノアは気分で予定外の場所へ現れる。セシルは周囲を見すぎる癖があり、レオンハルトは全体を気にするあまり自分の負担を増やしがちだった。

 そしてリリアは、指示を聞いた上で最終的に好きなところへ行く。

「連携評価、中の上」

 ルシアンが告げた。

「上がった」

「一日で最低からここまで来れば十分だよ」

「最高は?」

「まだ遠い」

「明日?」

「そんな簡単にいくかな」

「いきます」

「自信だけは満点だね」

 ルシアンは苦笑しながら記録板を閉じた。

「ただ、最後に一つ」

「まだある?」

「ある。というか、こっちが重要かもしれない」

 声の調子が変わった。

「さっき地下から出てきた六体目。あれは訓練に設定されていない」

 六人の表情から、笑いが消える。

「故障?」

 セシルが聞く。

「可能性はある。でも、通常なら未登録の魔法獣が勝手に生成されることはない」

「外から入り込んだ可能性は?」

 レオンハルトが尋ねた。

「演習場の結界を越えて?」

「難しいか」

「かなりね」

 カイルが地面を見る。

「発生地点を調べる」

「今日は僕がやる」

「俺も残る」

「駄目」

「なぜだ」

「君たちは訓練直後だ」

「この程度で疲れてない」

「君の『この程度』は基準にならないよ」

 ルシアンは今度はリリアを見る。

 案の定、口を開こうとしていた。

「リリアも駄目」

「まだ何も言ってない」

「残るって言うつもりだっただろう?」

「……はい」

「明日、分かったことは共有する」

「全部?」

「確認できたことは全部」

「推測は?」

「必要なら、推測だと前置きして話す」

 以前なら、きっと「知らなくていい」で終わっていた。

 その違いが分かったから、リリアはそれ以上食い下がらなかった。

「分かりました」

「素直だね」

「話してくれるなら」

「約束したからね」

 ルシアンが微笑む。

「今日は帰って休むこと。監督生命令」

「それ便利ですね」

「こういう時のためにあるんだよ」