魔法より、君に恋をする。

結論から言えば、第十三部隊は強かった。

 そして、信じられないほど連携が下手だった。

「邪魔!」

「それはこっちの台詞だ!」

 訓練開始から十五分。学院東部の実戦演習場に、アレンとカイルの怒鳴り声が響いた。

 二人の間を巨大な岩塊が通過し、直後、レオンハルトの放った風刃がそれを空中で砕く。細かな破片が結界に当たり、青白い光となって散った。

「二人とも、喧嘩はあとにしてくれるかな」

「クロフォードが俺の前に出てきたんだよ!」

「お前が持ち場を離れた」

「リリアの方に二体行っただろうが!」

「だから俺が行った」

「俺も行ったんだよ!」

「それが邪魔だと言っている」

「もう一回言ってみろ!」

「邪魔だ」

「アレン先輩」

「あ?」

「前」

 リリアが指を差した。

 アレンの背後から、狼を模した魔法獣が飛びかかっている。

「チッ」

 赤い炎が一閃し、魔法獣は地面へ叩きつけられた。

「危ねえな」

「喧嘩してるからでしょ」

「してねえ」

「してた」

「意見交換だ」

「声が大きい意見交換」

 その時、右側から三発の魔力弾が飛んできた。

 リリアはすぐに気づいたが、杖を上げるより先に水色の障壁が目の前へ展開される。

「はい、防御」

 ノアだった。

「自分で防げた」

「知ってるよ」

「じゃあ任せて」

「それはちょっと寂しいかな」

「戦闘中に寂しさ求めないで」

「厳しいなあ」

 ノアが笑った、その背後。

 地面を這うように別の魔法獣が迫る。

「ノア、動かないで」

 セシルの声と同時に、銀色の剣閃が走った。

 魔法獣の核が砕ける。

「ありがとう、セシル」

「どういたしまして」

 セシルはそのまま身体を反転させ、次の標的へ向かう。

 リリアは一連の動きを眺めたあと、ぽつりと言った。

「……全員、強いのに忙しいね」

「誰のせいだと思ってるの?」

 ノアが聞く。

「魔法獣?」

「半分正解」

「じゃあ残り半分は?」

「僕らかな」

 その直後、訓練場全体に低い鐘の音が響いた。

 残っていた魔法獣が一斉に停止し、光の粒となって消えていく。

『そこまで』

 高台から、ルシアンの声が降ってきた。