魔法より、君に恋をする。

 大講堂。

 一年生の席は、かなり騒がしかった。

「春季実戦祭って何?」

 席へ着くなり、リリアはセシルに聞いた。

「本当に知らないんだね」

「うん」

「毎年春に行われる学院最大の実戦行事。学年を越えてチームを組んで、魔法戦、探索、護衛、制圧みたいな課題をこなすの」

「面白そう」

「リリアならそう言うと思った」

 ノアが前の席から振り返る。

「結構危ないよ」

「死ぬ?」

「普通は死なない」

「じゃあ大丈夫」

「基準がおかしい」

「治癒魔法あるでしょ?」

「そういう問題じゃないよ」

 講堂の前方へ教師が立つ。

 ざわめきが収まった。

『今年度の春季実戦祭は、十日後から三日間にわたり開催する』

 歓声が上がる。

『今年は例年と一部形式を変更し、学年混成による六名一組の部隊戦とする』

「六人」

 リリアが呟く。

 ノアが振り返る。

「僕ら入れたら三人だね」

「あと三人」

「そうだね」

『ただし、部隊は自由編成ではない』

 講堂が静まる。

『各生徒の魔力量、属性、戦闘適性、成績をもとに、学院側が編成する』

「じゃあ一緒とは限らない?」

「うん」

 セシルが少し残念そうに答えた。

『編成結果は本日、この場で発表する』

 空中に巨大な魔法板が展開された。

 次々と名前が表示される。

 一組目。

 二組目。

 三組目。

 歓声や悲鳴があちこちで上がる。

「同じだといいね」

 セシルが言った。

「うん」

「僕も混ぜてよ」

「ノアも」

「順番みたいに言われた」

 名前が流れていく。

 やがて。

『第十三部隊』

 リリアの視線が止まった。

「……十三」

 なぜか。

 その数字だけが、妙に目についた。

 理由は分からない。

 次の瞬間、名前が表示された。

『リリア・アステル 一年』

「私」

 続く。

『ノア・フェルディナンド 一年』

「お」

『セシル・アルヴェイン 一年』

「一緒だ」

 リリアがセシルを見る。

 セシルも笑う。

「よかった」

 けれど、まだ三人。

『アレン・ヴァーミリオン 二年』

「え」

 講堂の別の場所から声がした。

 赤い髪が見える。

 アレンがこちらを振り返っていた。

『レオンハルト・エル・グランツ 二年』

 今度は講堂全体がざわめいた。

 第二王子。

 レオンハルトも驚いたように魔法板を見ている。

「あと一人」

 ノアが呟いた。

 リリアは何となく、三年生の席を見る。

『カイル・クロフォード 三年』

 表示された。

 六人。

 リリア。

 ノア。

 セシル。

 アレン。

 レオンハルト。

 カイル。

「……すごい組み合わせ」

 セシルが呟く。

「強そう」

「強そうどころじゃないと思うよ」

 ノアが笑う。

 その笑顔が、一瞬だけ硬かった。

 リリアは魔法板を見上げる。

 第十三部隊。

 六人。

 なぜだろう。

 胸の奥が、ほんの少しだけざわつく。