魔法より、君に恋をする。

夕方。

 王都を出る頃には、空が淡い橙色に染まり始めていた。

 学院へ戻る道を二人で歩く。

「いっぱい買った」

「リリア、意外と買い物するね」

「今日は楽しかったから」

「それ、関係ある?」

「ある」

「そっか」

 しばらく歩く。

 行きと同じように、手を繋いでいた。

 けれど帰り道では、人通りは少ない。

 もう、はぐれる心配はない。

 それでもどちらからも離さなかった。

「セシル」

「何?」

「今、手繋ぐ必要ないね」

「……そうだね」

「でも繋いでる」

「嫌?」

「嫌じゃない」

「じゃあ、このままでいいんじゃない?」

「うん」

 リリアは前を向く。

 手のひらが温かい。

 セシルと触れることには、もうかなり慣れたはずだった。

 なのに今日は、時々変な感じがする。

 嫌ではない。

 むしろ、その逆だった。

 もう少し、このまま歩いていたい。

「……セシル」

「うん?」

「今日、終わるの早い」

 セシルが目を瞬いた。

「まだ学院に着いてないよ」

「でももう帰ってる」

「そうだね」

「もっと遊べばよかった」

「……リリア」

「何?」

 セシルは少しだけ困ったように笑った。

「そういうこと言われると、帰したくなくなるよ」

「じゃあ帰らない?」

「え」

「まだ時間あるでしょ?」

「あるけど」

「どっか寄る?」

「……本気?」

「うん」

 リリアは繋いだ手を軽く引いた。

「もう少し一緒にいたい」

 セシルが、何も言わなくなった。

「セシル?」

「……ずるいなあ」

「今日二回目」

「リリアが悪い」

「なんで?」

「分からなくていいよ」

「またそれ」

「今日は許して」

 セシルは笑う。

「じゃあ、少しだけ寄り道しようか」

「うん」