魔法より、君に恋をする。

二人は最初に雑貨店へ入った。

 小さな魔法道具やアクセサリー、香水、文具まで並ぶ店で、休日ということもあり若い客が多い。

「可愛い」

 リリアが手に取ったのは、小さな猫の置物だった。

「クロフォード先輩のお土産、これ?」

「怒られそう」

「私は見たいけどね。これ渡された時の顔」

「買おうかな」

「本当に?」

「冗談」

 棚へ戻す。

 その隣には、剣を模した小さな銀色の栞が並んでいた。

 リリアが一つ取る。

「セシルっぽい」

「私?」

「うん」

「お土産を買うのはクロフォード先輩じゃなかった?」

「これはセシル」

「私、今一緒にいるよ?」

「一緒にいたら買っちゃだめなの?」

「そういうわけじゃないけど」

 リリアは値札を見る。

「これ買う」

「待って」

「何?」

「私が自分で払うよ」

「プレゼントだから嫌」

「何の?」

「今日付き合ってくれた」

「私が誘ったんだけど」

「じゃあ、誘ってくれたお礼」

「……」

「だめ?」

 セシルはしばらく栞とリリアを見比べた。

「ずるいなあ」

「何が?」

「何でもない。じゃあ、もらう」

「うん」

 会計を済ませて店を出ると、リリアはすぐに小さな包みを差し出した。

「はい」

「ありがとう」

「使ってね」

「大事にする」

「使って」

「大事に使うよ」

「ならいい」

 セシルは包みを鞄へしまった。

 たった一枚の栞なのに、きっと捨てられない。

 そんな自分が少し可笑しかった。