魔法より、君に恋をする。

第二訓練場には、すでに大勢の生徒が集まっていた。

 中央には模擬戦用の広い円形スペースが設けられ、その周囲を見学者が囲んでいる。男子生徒の姿も多いが、やけに女子生徒の割合が高いことにリリアはすぐ気づいた。

「剣術って女の子にも人気なんだね」

「……たぶん目的が違う」

「?」

 セシルが何かを諦めたような顔をする。

 その理由はすぐに分かった。

「あっ、アルヴェイン様!」

「セシル様、本当に来た!」

「今日模擬戦するのかな?」

 セシルが訓練場へ入った途端、女子生徒たちの間から歓声が上がった。

 リリアは隣を見上げる。

「王子様」

「言うな」

「人気者」

「帰るぞ」

「まだ何もしてないよ」

 逃げようとしたセシルの制服の袖を、リリアが掴む。

「離せ、リリア」

「せっかく来たんだから」

「誰のせいで帰りたくなってると思ってるんだ」

「女の子たち?」

「お前もだよ」

 そんなことを言い合っているうちに、剣術部の上級生がこちらへやってきた。

「アルヴェイン、来たか!」

 二年生を示す蒼色の装飾。体格のいい男子生徒だった。

「昨日は声かけていただいて、ありがとうございました」

「いやいや。むしろこっちが頼みたいくらいだ。君の腕なら即戦力だよ」

 セシルは先輩相手にはきちんと敬語を使うらしい。

 リリアが少し感心していると、男子生徒の視線がこちらへ向いた。

「そっちは……もしかしてアステル?」

「はい。一年のリリア・アステルです」

「やっぱり! 魔晶石を二個壊しかけたっていう」

「一個です」

「二個目にも亀裂入れただろ?」

「……一個半?」

「数え方の問題じゃないと思うぞ」

 セシルが横から冷静に指摘した。

 男子生徒が笑う。

「アステルも体験していくか? 魔法剣術もあるぞ」

「剣、握ったことありません」

「え?」

「一回も?」

「はい」

 周囲にいた部員までこちらを見る。

「それでよく剣術部まで来たな」

「セシルを見に来ました」

 リリアが普通に答える。

 セシルが咳き込んだ。

「……言い方」

「何が?」

「何でもない」

 またそれだ。