「服が欲しいそうだな」
言いながらローズに近づいてくるその声の主は、ユーベルトのものだ。
「わたくしをどうなさるおつもりですの?」
「孕ませて世継ぎを生んでもらう」
「お断りします」
「自分の置かれている立場が理解できぬほど愚かではあるまい」
ローズの目の前に立った美丈夫は、彼女が身体に巻き付けているシーツを剝ぎ取る。
透けたナイトドレスが裸体の線を露わにする。腕を掴まれて強い力で寝台に投げ飛ばされた。即座に組み敷かれ両手首を掴まれて、頭上で一つに纏められ縫い留められる。首筋に顔が埋められ、肌を舐められた。
「では、世継ぎを産んでも生かして下さるのなら、抵抗はしません」
『お約束いたします。必ず、必ずお迎えに参上致します』
ルビオの言葉が蘇る。生きてさえいれば、必ず迎えにきてもらえる。確固たる言葉がローズを支える。
(どれほど身体が穢されようとも、私の心は貴方のものよ、ルビオ)
「良かろう。ただし、二度と俺の命を狙うなよ」
首筋から顔を離したユーベルトが、暗闇の中ローズの双眸を見据えた。
「承知いたしました」
「賢明だな。だが、念のため世継ぎを産むまではこの部屋に幽閉する。大人しくしていられたら、正式に王妃として部屋から出してやろう」
懐妊しても男児を産めるとは限らない。一体何人産めば待望の男児が産めるかは定かではない。そう考えると、気の長い話だ。だが犬死にするよりはましだ。生きていれば、カレイズ王国が攻めてきて、ルビオが迎えにきてくれる。それを信じて待つだけだ。
ナイトドレスが脱がされ、ユーベルト自身も裸になって裸体を撫でられる。母国はいつ戦を仕掛けてくるだろう。先の大戦で、カレイズ王国は多くの兵士を失い多大な犠牲をだした。すぐには次の戦の準備には取りかかれないと思われる。それまで、生きる為に身体を差し出し、愛する人を想いながら他の男に抱かれ、子を孕むのだろうか。
やるせなさでいっぱいになる。
抵抗をやめて一筋の涙を流したローズを、ユーベルトは拘束することをやめた。
空が白むまで延々と抱かれ続けた。
そんな行為が毎晩繰り返されていく。
一月が経ち、二月が経つ。やがてユーベルトに激しく抱かれるようになって、半年が過ぎようとしていた。ローズは国王の寝室に幽閉されたまま、魅惑的なナイトドレスを着て過ごし続けている。毎日毎日一晩中抱かれる身体は重だるく、昼まで寝て、昼食を取ると、睡魔で再び寝台に上がって寝た。そして夜が来て夕食をとった後、ソファーで寛ぐ。夜がふけるとユーベルトがやってきて抱かれる。
その頃になると、ローズは彼から与えられる快感に、まるで中毒のように溺れてしまう自分に気付いていた。心の中でどれほど抗おうと自制できず、浅ましく強請らされるようになっていた。
(ルビオと約束したのに、どうしてこんなことにっ! これではルビオに顔向けできない。心だけでも、母国を発つ時に置いてきたというのに)
散々イかされて吐精された身体は、汗と体液塗れで重だるい。ふいに、寝台の端に座って開け放たれた窓を見ているユーベルトが目に入った。
「今日は前妻のユリアの命日だ。もう二年になる」
いつになく、ユーベルトの声が暗く、その背中はいつもより小さく見える。独り言のように話を続ける。
「夜会で出会って一目惚れして直ぐに求婚した。ユリアも俺を愛してくれた。結婚当初から、ユリアは病弱で余命三年だと御殿医から宣告されていた。なのに、愛するあまり毎晩抱いて懐妊させてしまった。ユリアは幸せそうに微笑んで妊娠を喜んでいた。だが、三ヶ月で子は流れ、ユリアは弱って死んでいった。今でもユリアを愛してる。なのに、お前を身代わりに抱いて慰めている。滑稽だろ?」
哀愁を漂わせた背を向けたまま、彼は自嘲気味に笑った。
(この人も同じなのね。愛する人が別にいながら、私を抱いてる)
ローズはかける言葉が見つからなかった。
言いながらローズに近づいてくるその声の主は、ユーベルトのものだ。
「わたくしをどうなさるおつもりですの?」
「孕ませて世継ぎを生んでもらう」
「お断りします」
「自分の置かれている立場が理解できぬほど愚かではあるまい」
ローズの目の前に立った美丈夫は、彼女が身体に巻き付けているシーツを剝ぎ取る。
透けたナイトドレスが裸体の線を露わにする。腕を掴まれて強い力で寝台に投げ飛ばされた。即座に組み敷かれ両手首を掴まれて、頭上で一つに纏められ縫い留められる。首筋に顔が埋められ、肌を舐められた。
「では、世継ぎを産んでも生かして下さるのなら、抵抗はしません」
『お約束いたします。必ず、必ずお迎えに参上致します』
ルビオの言葉が蘇る。生きてさえいれば、必ず迎えにきてもらえる。確固たる言葉がローズを支える。
(どれほど身体が穢されようとも、私の心は貴方のものよ、ルビオ)
「良かろう。ただし、二度と俺の命を狙うなよ」
首筋から顔を離したユーベルトが、暗闇の中ローズの双眸を見据えた。
「承知いたしました」
「賢明だな。だが、念のため世継ぎを産むまではこの部屋に幽閉する。大人しくしていられたら、正式に王妃として部屋から出してやろう」
懐妊しても男児を産めるとは限らない。一体何人産めば待望の男児が産めるかは定かではない。そう考えると、気の長い話だ。だが犬死にするよりはましだ。生きていれば、カレイズ王国が攻めてきて、ルビオが迎えにきてくれる。それを信じて待つだけだ。
ナイトドレスが脱がされ、ユーベルト自身も裸になって裸体を撫でられる。母国はいつ戦を仕掛けてくるだろう。先の大戦で、カレイズ王国は多くの兵士を失い多大な犠牲をだした。すぐには次の戦の準備には取りかかれないと思われる。それまで、生きる為に身体を差し出し、愛する人を想いながら他の男に抱かれ、子を孕むのだろうか。
やるせなさでいっぱいになる。
抵抗をやめて一筋の涙を流したローズを、ユーベルトは拘束することをやめた。
空が白むまで延々と抱かれ続けた。
そんな行為が毎晩繰り返されていく。
一月が経ち、二月が経つ。やがてユーベルトに激しく抱かれるようになって、半年が過ぎようとしていた。ローズは国王の寝室に幽閉されたまま、魅惑的なナイトドレスを着て過ごし続けている。毎日毎日一晩中抱かれる身体は重だるく、昼まで寝て、昼食を取ると、睡魔で再び寝台に上がって寝た。そして夜が来て夕食をとった後、ソファーで寛ぐ。夜がふけるとユーベルトがやってきて抱かれる。
その頃になると、ローズは彼から与えられる快感に、まるで中毒のように溺れてしまう自分に気付いていた。心の中でどれほど抗おうと自制できず、浅ましく強請らされるようになっていた。
(ルビオと約束したのに、どうしてこんなことにっ! これではルビオに顔向けできない。心だけでも、母国を発つ時に置いてきたというのに)
散々イかされて吐精された身体は、汗と体液塗れで重だるい。ふいに、寝台の端に座って開け放たれた窓を見ているユーベルトが目に入った。
「今日は前妻のユリアの命日だ。もう二年になる」
いつになく、ユーベルトの声が暗く、その背中はいつもより小さく見える。独り言のように話を続ける。
「夜会で出会って一目惚れして直ぐに求婚した。ユリアも俺を愛してくれた。結婚当初から、ユリアは病弱で余命三年だと御殿医から宣告されていた。なのに、愛するあまり毎晩抱いて懐妊させてしまった。ユリアは幸せそうに微笑んで妊娠を喜んでいた。だが、三ヶ月で子は流れ、ユリアは弱って死んでいった。今でもユリアを愛してる。なのに、お前を身代わりに抱いて慰めている。滑稽だろ?」
哀愁を漂わせた背を向けたまま、彼は自嘲気味に笑った。
(この人も同じなのね。愛する人が別にいながら、私を抱いてる)
ローズはかける言葉が見つからなかった。
