君のいない明日を、今日。

――こうき

家に帰ってから、何をしていたのか覚えていない。

ただ、スマホだけを握っていた。

画面に残っているのは、愛から届いた最後のメッセージ。

『ごめんね』

たったそれだけ。

意味が分からない。

好きな人ができた。

だから別れたい。

そんな理由で、あんな顔をするだろうか。

あんなに泣きそうな顔で。

「……嘘だろ」

呟いて、スマホを伏せる。

愛は、何かを隠している。

それだけは分かる。

でも――何を隠しているのかは、まだ分からない。

俺には、愛を引き止める理由がある。

けれど、それを今、口にすることはできなかった。

窓の外を見る。

夜の街は、いつもと変わらない。

なのに。

今日から何かが変わってしまった気がした。

「……愛」

小さく名前を呼ぶ。

返事が返ってくるはずもない部屋で。

俺は、朝まで眠れなかった。