一年後。「彩夏、早く。遅れちゃうよ」変装もせず、堂々と私の手を引いて歩く颯太の後ろ姿。あの日以来、事務所はメンバー全員の強い意志に折れ、二人の交際を「公認」とした。ファンの中には最初こそ戸惑う声もあったが、恋をしてさらに表現力に磨きがかかった颯太のパフォーマンスと、何より5人の変わらない強い絆を見て、今では二人の恋を温かく見守る声が大半を占めている。「もう、颯太くん歩くの早いよ。……あ、今日の衣装、すごく似合ってる」「当たり前でしょ。誰のために一ヶ月前から仕込んでたと思ってるの」楽屋のドアを開けると、「あ! 彩夏さん、お疲れ様です!」「今日も差し入れ期待してます!」と、ハクやナオたちが笑顔で迎えてくれる。テレビの向こうの遠い世界だった王子様は、今、私のすぐ隣で悪戯っぽく微笑んでいる。世界中を敵に回しかけた、あの制御不能だった危うい恋は。今、たくさんの人に祝福されながら、誰にも止められない確かな未来へと、どこまでも加速し続けている――。

