その青を描く ③

 そのあと、家で時間を潰してから、自転車でコンビニへ向かった。そして、柚月が住むアパートへ行ったら、すぐに玄関のドアが開いて、思わず小言を口にしそうになった。部屋に入って、辺りを見回してから、何気なく話をしたけど、柚月は思った通りの反応をした。

 俺は忘れていたけど、あの目は戸田といたときと一緒だった。その当時、俺は恋だと錯覚をしていて、気づかないふりをした。長い間、そばにいることが普通だったから、遠くへ行きそうで、不安にもなった。でも、柚月は変わらなかったし、何かあれば俺のところへ来て、笑ったり、嘆いたりしていた。

 肝心なことは何も聞かされてないし、尋ねることもないけど、ようやく柚月に春がきたようで嬉しくなった。

 ここから先は、俺は知ろうとも思わない。今まで通りに過ごすだけだ。

 まだまだ金は足りないから、バイトしなきゃいけないし、店も辞められない。

 できれば、佐伯の年頃には店を持って、落ち着いて余裕のある上司になっていたい。

 けど、俺はあいつに相談するたびに、誘導尋問に乗っかって、余計なことを話すだろう。

 何か言われたら、「どうしようもない恋だよな」とか返してからかってやろうと思う。

 それでも、あいつは二の先を踏んで、また必ず俺を引っ掛けてくる。

 まぁ、それも悪くない。

 だって、幼馴染がやっと見つけた人だ。

 
 口にはできないけど、幸せであるようにと心から想っている。


ー完結。