「近くに、すごく雰囲気のいいレストランががあるんですよ。テラス席がおしゃれなカフェでもいいですし、麻美子さんの行きたい方に――」
いつもなら、「大人の女性」として彼のスマートなエスコートに微笑み、話を合わせていただろう。
けれど、今の麻美子は、彼の袖を、少し強めに、ぎゅっと掴んでいた。
「……麻美子さん?」
驚く蓮の視線を真っ直ぐに受け止め、麻美子は少し赤くなった顔で、けれどすっきりと晴れやかな声で言った。
「私ね、おしゃれなレストランより、御徒町で『たい焼き』が食べたい。その後は、賑やかな露店で焼き鳥とビールがいいな」
一瞬、蓮はきょとんとした顔で固まった。
それから、息を吐くように肩から力が抜けると、今日一番の嬉しそうな笑顔を弾けさせた。
「あはは! よかった。僕も本当はお洒落な場所、苦手で」
広場のライトアップが照らし出す緑の森は、まるで二人を祝う季節外れの銀杏並木のように、煌々と輝いていた。
彼にぎゅっと手を引かれながら、麻美子は心の中で、あの気取った美術館と恐竜の立ち並ぶ博物館に向かって、あっかんべーと舌を出した。
終わり。
いつもなら、「大人の女性」として彼のスマートなエスコートに微笑み、話を合わせていただろう。
けれど、今の麻美子は、彼の袖を、少し強めに、ぎゅっと掴んでいた。
「……麻美子さん?」
驚く蓮の視線を真っ直ぐに受け止め、麻美子は少し赤くなった顔で、けれどすっきりと晴れやかな声で言った。
「私ね、おしゃれなレストランより、御徒町で『たい焼き』が食べたい。その後は、賑やかな露店で焼き鳥とビールがいいな」
一瞬、蓮はきょとんとした顔で固まった。
それから、息を吐くように肩から力が抜けると、今日一番の嬉しそうな笑顔を弾けさせた。
「あはは! よかった。僕も本当はお洒落な場所、苦手で」
広場のライトアップが照らし出す緑の森は、まるで二人を祝う季節外れの銀杏並木のように、煌々と輝いていた。
彼にぎゅっと手を引かれながら、麻美子は心の中で、あの気取った美術館と恐竜の立ち並ぶ博物館に向かって、あっかんべーと舌を出した。
終わり。



