加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

「…………」

そんな顔で言われたら。

恥ずかしいじゃない。

「仁……くん」

「……欄」

名前を呼ばれる。

それだけなのに、胸がいっぱいになった。

あたしは、大山先輩の背中に腕を回す。

「仁くん……」

「ん?」

言いたかった。

ずっと。

何度だって。

あたしは、この人が――。

「スキ」

「…………」

大山先輩の動きが止まった。

さっきまで余裕なんてなかった目が、少しずついつもの大山先輩に戻っていく。

「……俺、何やってんだ」

小さく呟いて、あたしの額に自分の額を重ねた。

やっと。

大山先輩が、戻ってきた。