加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

唇が、ゆっくり離れた。

それでも。

あたしたちは、離れなかった。

額が触れそうな距離で、大山先輩の息を感じる。

あたしも、まだ少し息が乱れていた。

「…………」

何も言えない。

目を開けたら、すぐそこに大山先輩がいる。

さっきまで、あんなに眠かったのに。

今はもう、眠気なんてどこかへ飛んでいってしまった。

胸が、うるさい。

大山先輩にも聞こえてるんじゃないかな。

そう思ったら、急に恥ずかしくなって目を伏せた。

でも。

腰に回った腕は、そのまま。

あたしの手も、大山先輩の服を掴んだまま。

どっちも離れようとしない。

「……欄」

低い声で名前を呼ばれて。

あたしは、もう一度ゆっくり顔を上げた。