加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

院長室の前に着いた。

高遠先輩が、片手を上げる。

全員の足が止まった。

「…………」

静かすぎる。

こんな時間だから当たり前なのかもしれない。

もぉ、家に帰ってるのかもしれない。

でも。

なんだろう。

この嫌な感じ。

高遠先輩が、ドアに耳を近づける。

中からは、何も聞こえない。

「加奈」

「はい」

加奈さんが、小さく頷いた。

あたしも息を殺す。

高遠先輩が、ドアノブに手をかけた。

ゆっくり回す。

鍵は――。

かかっていなかった。

高遠先輩と加奈さんが、一瞬、顔を見合わせた。