加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

それから、2時間後。

コンコン。

「失礼します」

加奈さんが入ってきた。

今度は、完全に普通の看護師さんの顔。

「点滴、終わりましたね」

「はい」

苫利先輩の腕から、手際よく針を抜いていく。

あたしたちも、余計なことは何も言わなかった。

「今日は、ゆっくり休んでください」

「ありがとうございます」

加奈さんはそれだけ言うと、病室を出ていった。

夕方。

あたしは売店で買ってきたパンを、苫利先輩に渡した。

「はい。夕飯です」

「…………パン?」

「パンです」

苫利先輩が、配膳された病院食を見る。

「ここのご飯、相当美味しいって噂ですよ」

「え? じゃあ食べる?」

「ダメですよ」

あたしは即答した。

「食事に注入されてるかもしれないし」

「…………」

苫利先輩は黙って、パンの袋を開けた。