加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

「今夜……ですか?」

あたしが聞くと、加奈さんは小さく頷いた。

「盗聴器が壊れたことは、すぐ気づかれると思う」

…………。

確かに。

突然、音が聞こえなくなったんだから。

「じゃあ、新しい盗聴器を?」

「それだけならいいけどね」

…………え?

加奈さんの表情から、笑顔が消えた。

あたしと苫利先輩は顔を見合わせる。

それだけじゃない?

他に、何があるの?

「とにかく、今夜は絶対に気を抜かないで」

その言い方に、背中がゾクッとした。

「私、そろそろ戻らないと」

加奈さんが時計を見る。

「2時間後に、また来るわ」

「え?」

「点滴」

加奈さんが笑った。

「外しに来ないと、不自然でしょ?」

「あ……そっか」

そう言うと、加奈さんは何事もなかったようにドアを開けた。

「では、ゆっくり休んでくださいね」

いつもの看護師さんの顔に戻って、病室を出ていく。

パタン。

静かになった病室で、あたしはドアを見つめた。

今夜。

この病室に――。

何か来る。

そんな気がした。

そして、右耳の真珠のピアスを作動した。