加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

「じゃあ、私たちもそろそろ行こっか」

幸田さんが、明るく言った。

「そうだな」

大山先輩も立ち上がる。

「苫利、お大事に」

「ありがとうございます」

「欄ちゃん、またねぇ」

「はい。また来てくださいね」

二人は何事もなかったように、
病室を出ていった。

パタン。

…………。

急に、部屋が静かになった。

あたしは苫利先輩を見る。

苫利先輩も、あたしを見ていた。

何も言えない。

盗聴器がある。

あとは――。

大山先輩と幸田さんに任せるしかない。

間に合って。

お願いだから。

時計の針が進む音まで、やけに大きく聞こえる。

苫利先輩の指が、ベッドのシーツをギュッと掴んだ。

…………怖いよね。

何が入っているか分からないものを、これから自分の身体に入れられるかもしれない。

その時。

廊下から足音が近づいてきた。

コツ……コツ……。

苫利先輩の表情が変わる。

あたしも息を呑んだ。

コンコン。

「苫利さん。点滴のお時間です」

…………来た。

早い。

大山先輩。

幸田さん。

…………間に合った?