加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

でも、ここでは何も話せない。

盗聴器がある。

…………どうする?

「あっ、そうだ!」

あたしは、わざと明るい声を出した。

「幸田さん」

「ん?」

「そういえば、お誕生日少し過ぎちゃったけど、プレゼント持ってきてたんですよ」

「え〜? ホント?」

「はい。今日会えてよかったぁ」

あたしはバッグの中を探すふりをした。

「大したものじゃないんですけど」

「そんなの気にしないわよぉ。嬉しい」

幸田さんのそばへ行く。

「はい、どうぞ」

あたしは幸田さんの手を取り、小さく折ったメモを握らせた。

幸田さんの指が、そっとメモを開く。

一瞬だけ、目が合った。

《信用できる看護師》

《食塩水》

その文字を確認した幸田さんは、
すぐに満面の笑顔を見せた。

「わぁ〜、ありがとう欄ちゃん」

「どういたしまして」

「今度、お返ししなくちゃね」

「いいですよぉ」

「じゃあ、今度一緒に買い物でも行こっか」

「行きたいです」

どこから聞いても、ただの誕生日プレゼントの話。

最後に幸田さんは、

あたしを見て――。

「うん」

小さく頷いた。