トイレを済ませ、あたしたちは病室へ戻ろうとしていた。
その時――。
廊下の先から、低い声が聞こえた。
あたしは足を止める。
苫利先輩も、同時に止まった。
曲がり角の向こう。
黒っぽい服を着た二人の男が、
声を潜めて話している。
「今月は、あんまり見込めねぇな」
…………見込めない?
病院でする会話にしては、妙な言い方だった。
「今日、新しいの入ってきたよ」
もう一人の男が答える。
「骨折だとかで」
新しいの?
患者のことを、そんなふうに呼ぶ?
しかも――。
『見込めない』という話の直後に、
『新しいのが入ってきた』
まるで、何かの数を数えているみたいだった。
あたしと苫利先輩は顔を見合わせる。
今日、新しく入院した骨折患者。
…………苫利先輩だ。
その時――。
廊下の先から、低い声が聞こえた。
あたしは足を止める。
苫利先輩も、同時に止まった。
曲がり角の向こう。
黒っぽい服を着た二人の男が、
声を潜めて話している。
「今月は、あんまり見込めねぇな」
…………見込めない?
病院でする会話にしては、妙な言い方だった。
「今日、新しいの入ってきたよ」
もう一人の男が答える。
「骨折だとかで」
新しいの?
患者のことを、そんなふうに呼ぶ?
しかも――。
『見込めない』という話の直後に、
『新しいのが入ってきた』
まるで、何かの数を数えているみたいだった。
あたしと苫利先輩は顔を見合わせる。
今日、新しく入院した骨折患者。
…………苫利先輩だ。



