その日の夜。
「欄ちゃん」
苫利先輩が、小さくあたしを呼んだ。
「なんですか?」
「トイレ」
「はい」
この個室。
広いし、設備も悪くない。
ただ、安い部屋だからトイレだけは外にある。
あたしは苫利先輩を支え、病室のドアを開けた。
昼間とは、まるで違う。
照明の落とされた長い廊下。
ナースステーションの明かりだけが、やけに白く浮かんで見える。
遠くで、何かが動く音がした。
カラ……カラ……。
誰かが押しているワゴンの音だろうか。
足音ひとつでも、妙に大きく響く。
「ゆっくりでいいですよ」
「悪いな」
「彼女ですから」
盗聴器を意識して、少し大きめに言った。
そして二人で、静まり返った夜の廊下を歩き出した。
「欄ちゃん」
苫利先輩が、小さくあたしを呼んだ。
「なんですか?」
「トイレ」
「はい」
この個室。
広いし、設備も悪くない。
ただ、安い部屋だからトイレだけは外にある。
あたしは苫利先輩を支え、病室のドアを開けた。
昼間とは、まるで違う。
照明の落とされた長い廊下。
ナースステーションの明かりだけが、やけに白く浮かんで見える。
遠くで、何かが動く音がした。
カラ……カラ……。
誰かが押しているワゴンの音だろうか。
足音ひとつでも、妙に大きく響く。
「ゆっくりでいいですよ」
「悪いな」
「彼女ですから」
盗聴器を意識して、少し大きめに言った。
そして二人で、静まり返った夜の廊下を歩き出した。



