加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

あたしは、薬に手を伸ばしかけた。

その時。

苫利先輩が、あたしの手首をそっと掴んだ。

「…………」

そして、視線だけを動かす。

盗聴器。

……そうだった。

ここでは、何も話せない。

苫利先輩は薬を口元へ運んだ。

「え……」

思わず声が出そうになる。

けれど――。

ゴクン。

水を飲み干す。

「ごちそうさま」

苫利先輩は、何事もなかったように笑った。

あたしは思わず顔を覗き込む。

すると、苫利先輩が舌を少しだけ出した。

そこには――。

さっきの薬。

飲んでない。

あたしはホッとしながら、小さく頷いた。

この薬……絶対に調べてもらわなきゃ。