加納欄の入院 シリーズ32シーズン4

大山先輩が、盗聴器に手を伸ばしかけた。

けれど――。

途中で、その手を止める。

そして、あたしたち三人を見た。

…………。

取らないんだ。

その意味は、すぐに分かった。

ここで盗聴器を外せば、あたしたちが気づいたことまで相手に知られる。

幸田さんが、何事もなかったように笑った。

「それにしても、いい部屋よねぇ〜」

「ホントですよねぇ」

あたしも笑って答える。

苫利先輩は、一瞬あたしを見てから。

「まぁ、悪くないな」

と、ベッドに身体を預けた。

大山先輩も、いつもの顔に戻っている。

誰も盗聴器のことには触れない。

ここから先。

あたしと苫利先輩は、本物の恋人として振る舞わなきゃいけない。