普通の関係ではありませんが、私達は仲良しです。



【番外編】

・愛の形


「蘭々ちゃんはいつから、ママと仲良しなの?」

そんな事を有栖子から、聞かれた。

「……そうねぇ。ママと知り合ったのは、まだ、彼女が美大生の頃だったから、……約十年前から仲良し、ね。」

蘭々がプロのモデルをしていた時に、二人は出会った。

由貴子は美大の二年生になったばかりで、油絵学科に在籍していて、デッサンサークルに入っていた。

そこに、ヌードモデルとして、蘭々は呼ばれたのだった。

蘭々は服や下着を脱ぎ、生まれたままの姿で、ポーズを取った。

欲情した目や、嫉妬の目を、これまで多く向けられて来た。


由貴子は真剣な目を向けて来た。

体の隅々まで熱心に観察して、何一つ、描き漏らさないよう……。

デッサンの二十分の間に、特徴を捉え美しい人をどれだけ、美しく早く描けるのか、その特訓にただ精を出していた。




休憩を挟んで何度か、繰り返してデッサンが終わり、帰ろうとしてると、蘭々は由貴子から声を掛けられた。

絵のモデルになって欲しい、と……。

……一目見て気に入ったのだ。

蘭々は自分は高いが、あなたに払えるのかと尋ねた。

由貴子はお金ならありますと、ご心配なくと胸を張って答えた。

連絡先を交換して、その日は分かれた。


後日、蘭々は由貴子が住む美大近くのアトリエ兼住宅のアパート、桔梗荘を訪問した。

「蘭々さん、良く来てくれました!今日から宜しくお願いします!」

そう、深々と頭を下げられた。


由貴子を知るうちに、もっと好きになった。

初めからきっと、特別だった。

 

由貴子はお見合いして、婚約者の伊吹とデートを重ねた。

そして、長男の充葉を身籠った。

伊吹と由貴子は籍を入れ、結婚……。

美大を休学して子育てに専念する事に。

美大に復学するつもりだったが、結局は退学届を提出して中退した。

白山家の跡取り、二人目の元貴を身籠った。

由貴子は名門美大を卒業した、学歴が欲しかったが、絵は大学に通わずとも描けた。

技術的な面では、教わる必要はもうなかった。


蘭々はモデルをやめて、これまでに構築した人脈を使い社交サロン『Lulu』をオープンさせた。

以前からワインの勉強をして資格を取り、経営の勉強もしていた。

『Lulu』は会員制で、それなりに繁盛してる。

客層は画壇関係者、文化人、企業の社長や重役だ。


蘭々が『Lulu』を作ったのは、また由貴子と繋がりが欲しかったから、でもあった。 

伊吹と離婚して由貴子は、三人目の有栖子を妊娠した。

由貴子の面倒を見て、有栖子が生まれると、一軒家で暮らすようになった。


由貴子の側にいて、一緒に子育てするのが幸せ、なのだった。




・ご奉仕


伊吹さんの男性器を咥えて、口内の粘膜で包んで、喉の奥まで迎えた。

手も使って、伊吹さんを気持ち良くさせた。

私は学校の勉強は苦手だったが、他の事は優れてる方だと思う。

器用で物覚えは良い。

好きなもの興味のあるものには、勉強熱心で探究心は人一倍強い。


「……由貴子さん、もう良いですよ。」

このまま、出させようとしたら、伊吹さんに制止された。

伊吹さんの精液の味、気になる……。


制止を無視して私は、伊吹さんを追い詰めて口の中に出させた。

精液は不思議な味がした。


「由貴子さんはしなくて良いですからね、そんな事……。」

私が飲み込んだのを見ると、……言われた。

不満だった。


他の人には、させたのだろうか。

伊吹さんの元彼女、事情は知らないが、間違いなくモテる。

モテない方がおかしい。

女の人が放って置かない。


知識不足は勉強で補えるが、実地は経験して数を重ねるしかなかった。




「伊吹さんはこれまで、どんな方とお付き合いされた経験があるんですか?」

そう聞いたら、教えてくれた。

年上のお姉さんとしか、お付き合いした事がないと……。

留学中はイタリアとスペインの方と、お付き合いがあったらしい。


……伊吹さんが羨ましくなった。

イタリアとスペインの方と、交流があったなんて。

お国柄嘸かしお美しく、情熱的な美女だったんだろうなと、容易に想像が付いた。


身近にイギリスの血が入ってる、奏矢がいたから、美形な遺伝子が欲しいと、そんな思いは昔からあった。

美しいものに惹かれるのは、人間の本能だ。

私は抗えない。

欲しくて、堪らなくなった。




伊吹さんと離婚して、奏矢が一人暮らしする、マンションに引っ越した。

……妊娠しやすい日。

ベッドに奏矢を押し倒した。

子供を作る為とは言え、気持ち良くなって欲しい。

大好きな相手には、献身的である。

努力は惜しまない。


私は口淫して勃たせて、奏矢の上に跨った。

「気持ち良い……?」

腰を動かしながら聞いた。


「……気持ち良い、由貴ちゃん。」

「良かった。もっと、気持ち良くなろうね。」

動きを速めて、絶頂まで導いた。

上下逆になって、次は奏矢の好きに動いてもらった。


「…あァっ、ん。奏矢ッ!」

「はぁ、…んっ。」

快楽に溺れた。




有栖子と由乃の髪を整えて、編み込みをしたり、リボンで結んであげてから、幼稚園に送り出していた。

ヘアアレンジのカタログを見て、やり方を学び勉強した。

一度、覚えてしまえば応用が効いた。

自分の髪を整えるのは面倒だが、有栖子と由乃の髪を整えてあげるのは楽しい。

可愛くすると、喜んでくれるし。


立ち仕事で脚が浮腫み、困ってた蘭々さんの為に、マッサージの仕方を覚えた。

お風呂上がりに、ボディオイルを使い、マッサージしてあげた。


私は醜い人間は愛せない。

幼稚園から女子校で、お金持ちの家の子しか、いない環境で育った。

裕福だからと言って、心まで美しいとは限らなかった……。

恵まれてる人間だからこそ、傲慢で性根が腐ってる、って場合はあった。

どれだけ外見が整っていようと、内面も美しくなければ、不思議と美しいとは、感じなかった。



例を挙げるとするならば、伊吹さんの腹違いの兄、大湖さんだった。

端正な顔立ちをしていて、格好良い人ではあったが、優秀な弟に対する、嫉妬が渦巻いてるように見えた。

一香さんから忠告を受けた。

成る可く距離を置き、二人きりにはならないよう……。

その忠告から察するに、鳳家の跡取りを授からない、不妊の体にしたり、流産させようと、攻撃して来るのではと警戒した。

私は自分の目的の為ならば、どんな非道な事でも、平気で出来る人を何人も知ってた。

……私自身、そっち側の人間だ。


大湖さんは違ったらしく、私は鳳家の跡取りを身籠り、充葉を出産したのだった。

その程度の人間。

鳳不動産の社長になれる器ではなかった。


人の上に立つ人間になるには、素質が何より重要で、生まれた順番は関係なかった。

伊吹さんはその素質を十分過ぎる程、待ち合わせていた。




伊吹さんは、朝ご飯を一緒に食べてくれた。

朝早かったり、出張で家を開けてる時以外は。

時間を作ってくれて、……嬉しかった。


会食や他の約束があったり、夜ご飯は別が多かった。

愛してると、言葉にしなくても、伊吹さんの愛情を感じた。


キスやセックスするのが、一番伝わったけど。

夫婦のコミュニケーションは大切だと、実感していた。


一人の人間として、尊重し合える関係だったと、言えた。

私が絵を描くのを応援してくれた。

家事が苦手な私に代わり、率先してやってくれた。


父親としては、そうではなかった。

唯一の欠点だ。

完璧過ぎる、伊吹さんの。




・玄関で立ちバック


「……伊吹さん?」

どうかしたんですか?と、続けて聞こうとしたが、キスで唇を塞がれた。

腰に腕が回り引き寄せられて、通勤鞄が廊下に落ちる音がした。

伊吹さんは仕立ての良いスーツを着ていて、これから家を出て出勤するところだった。

私は見送りに、玄関まで来た。


「はぁ、…んっ。」

キスの合間に熱い吐息が漏れた。

唇の隙間から舌が入って来て、絡め取られて唾液が混ざり合う。

……水音が廊下に響いてる気がした。


気持ち良いキスが終わると、


「……あの、伊吹さん。」

私の履くズボン、ジーンズの上から秘部を刺激される。

もうキスだけで濡れていて、ショーツにはシミを作ってるだろう。


「嫌ですか?」

「嫌ではないですけど……。」

朝っぱら玄関でやる事では、ないと思う。

それに、ゆっくりしてたら遅刻してしまう。


けど、求めてくれるのは嬉しい。


「遅刻しない程度、なら良いですよ。」

「善処します。」

ジーンズとショーツを一緒に、足首まで下げられた。

脱がせる時間はなく、私は壁に手を付いて、お尻を突き出す格好になり。

伊吹さんは私の中に入って来た。

コンドームを付けてなくて、火傷しそうな程、熱い伊吹さんの熱を感じた。



「あァッ…!」

私は早々に絶頂に達してしまうが、伊吹さんはまだ、だ。


「あっ、んぅ。…激しいッ。」

体の力が抜けて、甘い声を出す事しか出来ない。

伊吹さんに体を支えられながら、腰の動きを速められて、奥まで突かれてまた、私が絶頂に達すると、伊吹さんは私の中で果てた。

伊吹さんが腰を引き出ていくと、精液が逆流して膣内から溢れた。

私の太腿の内側に垂れた。

その感覚さえ、敏感に感じ取った。


どこで伊吹さんのスイッチが入ったのか、それは分からなかったが、非日常的で気分は盛り上がった。