振袖を着て料亭で、お見合い相手を待っていた。
個室の部屋から眺められる日本庭園は、手入れが隅々まで行き届き、鹿威しの音が聞こえた。
……鯉、泳いでるのかな。
池があるのかは知らないが、ありそう。
「お待たせしてしまい申し訳ありません。」
正座をして足が痺れて感覚がなくなって来た頃、お見合い相手はやって来た。
鳳不動産の御曹司、鳳伊吹さん。
名門大学の経営学部を卒業後、アメリカに二年間留学してMBA(経営学修士号)を取得。
日本に帰国後、祖父が会長、父親が社長を務める、鳳不動産に就職すると、会社内でメキメキと頭角を表し始めた。
次期社長と、期待されてる人物……。
嫌味なくらい、完璧な人だと思う。
何故、私がお見合い相手に選ばれたのか、謎過ぎる。
結婚なんてしたくない。
私は自由に、絵を描いていたい。
家に縛られて、一生を終えるのは嫌だ。
「……このお見合い、……結婚について如何お考えですか?」
並べられた料理を美しい所作の箸使いで召し上がる、鳳さんに尋ねた。
振袖を着てる私は汚さないか心配なのと、帯を締めて腹部を圧迫されており、箸はそんなに進んでいなかった。
私の父は白山銀行のトップ、頭取を務めている。白山家は創業者一族で、代々頭取の座に就いて来た。
鳳不動産とは、長い付き合いがあるそう。
結婚は家同士の繋がりを強める為の手段……。
言ってしまえば、政略結婚だ。
「由貴子さんは大学で絵の勉強をされていて、画家として生計を立てて行きたいとお考え、なのですよね?」
箸を置いた鳳さんに聞き返された。
「……はい。」
私は美大生で油絵学科に在籍中である。
「僕個人の考えですが、結婚後も好きな事をして構いません。家に閉じ籠ったりせず、自由に過ごして頂いて結構です。」
「……画家として仕事をしても、構わない、と仰るんですか……?」
「えぇ。」
このお見合い、結婚に乗り気になって来た。
「お見合い、どうだったの?」
私が使うアトリエで、ベッドの上に仰向けになり、頭の上で腕を組んで、ポーズを取るヌードモデルの蘭々さんに聞かれた。
デッサンの練習をしていた。
アトリエにはモデル用のベッドと、椅子を置いていて、今日はベッドを使用中だった。
「良かったですよ。結婚、すると思います。」
「由貴子ちゃんが人妻になるね。とっても、唆られちゃうわ。」
蘭々さんは、妖艶な微笑みを浮かべた。
官能的で美しい人だ。
結婚するのは、私が大学を卒業してから。
鳳不動産の御曹司と、婚約中の身になった。
「…はぁ、ん。」
蘭々さんの肌に触れ愛撫をすると、吐息混じりの甘い声を漏らした。
美しい人には、心惹かれる。
ヌードモデル一本で、食べて行ける程、人気のモデルさん。
私は大学のデッサンサークルに所属していて、そこで蘭々さんと知り合った。
一目で気に入って、個人的にモデルを依頼したいと、お願いすると承諾してもらえた。
蘭々さんの予定が空いてる日に、アトリエに来てモデルをしてもらった。
モデル代は、きちんとお支払いした。
秘部に顔を埋めて、愛液を舐め取り。
「あァッ、…イクっ!」
硬くなってる秘豆を摘んで、扱いてあげると蘭々さんは絶頂に達した。
私は授業を受けて、サークルに行ってデッサンして、自分のアトリエで、油絵を描く生活をしてる。
サークルでは、モデルさんを招いていた。
男の人も、女の人も。
ヌードモデルなので、着ているものは全て脱ぐ。
私達の目の前で、蘭々さんは脱いだ。
ブラウスのボタンを外して、スカートを下ろして、ブラジャーのホックを外すと、乳首が見えた。
ショーツを脱ぐと、女性器が露わになった。
蘭々さんの体を見て、勃起してる男子部員がいたりした。
刺激が強かったみたい。
四つん這いになり、お尻の割れ目や、お尻の皺まで見えるポーズを取る、蘭々さんは美しかった。
男子部員は、椅子から立ち上がると走って行った。
トイレで抜いたんだろうな……。
男子は大変だ。
私には兄と弟がいる。
兄は銀行員で、弟は高校生。
私は大学近くのアトリエ兼住居のアパートに住んでいて、兄は大学を卒業後結婚して、実家に奥さんと父と母と四人暮らし。
弟は全寮制の高校なので、寮生活を送っていた。
兄夫婦は結婚して、まだ二年目の新婚さん。
結婚式と披露宴は、老舗ホテルで行われた。
招待客は百人近くいたと思う。
お見合いの席でも着た、振袖で私は出席した。
弟は制服だった。
兄の奥さんは母から子供はまだかと、催促されて可哀想……。
嫁姑の関係は良好ではなかった。
「結婚するまでに、デートを重ねませんか?」
そう、私は提案した。
料亭の日本庭園には、池があって本当に鯉が泳いでいた。
餌はあげられなったが、鯉は餌をくれると勘違いして、私達の方に寄って来た。
私が庭を見たいと言ったら、付き合ってくれた。
「良いですね。デート。」
仕立ての良いスーツを着る伊吹さんは、私の提案に賛同した。
結婚するからには、良好な関係を結びたい。
伊吹さんは鳳不動産にお勤めで、多忙の身である。
デートは月に一度、する事になった。
お互いを知って、尊重し合える関係になるのが理想だった。
私が通う美大には私が専攻してる油絵学科の他に、日本画学科、彫刻学科、デザイン学科などが。
グラフィック系のデザインを学べる、デザイン学科が人気で、一番倍率が高かった。
油絵学科は、浪人するのが当たり前って感じなので、年上の同級生が多かった。
私は祖父の影響で、幼い頃から絵画教室に通っていたので、ストレート合格した。
大学近くにあるアパートの桔梗荘は、二階建てで一階がアトリエの作業スペースになっていて、二階が住居スペース。
アトリエと生活する部屋は、一人一人個室があった。
「また、美女が来てたな。俺もモデルをお願いしたい。」
外まで蘭々さんをお見送りして、戻ろうとしてると、北斗先輩に言われた。
「北斗先輩もご依頼すれば?」
「貧乏学生には無理だ。お前みたいに、スポンサー付いてれば別なんだがな。」
サークルでプロのモデルさんを呼べるのは、月に一度程度で、後は部員が順番でモデルになった。
部員は脱いでも良いし、脱がなくても良い。
私にはスポンサーがいる。
祖父がお金を出してくれて、アルバイトしなくても、創作活動に専念出来た。
祖父は銀行の頭取を早々に引退して、長年の夢だった自身で収集した、コレクションを展示する、美術館を開館させた。
私が高い絵の具や画材を強請ると、母は渋い顔をしたが、祖父は喜んで買ってくれた。
私は恵まれた環境で、絵を描けていた。
今日は志摩先輩がモデルの番で、下着姿で椅子に座り、長い脚を組んでいた。
志摩先輩の乳房はブラジャーのカップから、溢れてしまいそうな程、大きくて豊かだった。
私もモデルをした事があるが、私は結婚相手以外に肌見せNGなので、一枚も脱がなかった。
画家として食べて行くのは、難しいだろうと、思っていた。
一人前になるには、売れる絵を描かなければならない。
どんなに立派なコンクールで受賞歴があっても、お金を稼げなければ、生活出来ない。
自由に描きたい私には、向いてなかった。
けど、祖父の知り合いの奥様から、肖像画のご依頼を受けて、私は描いた経験がある。
出来上がった作品を奥様に気に入って頂けて、お屋敷の一番良い場所に飾ってくれて、それを見たご友人の間で評判になり、奥様方からまた依頼が来た。
肖像画で稼いだお金は、蘭々さんのモデル代や、絵の具代になった。
私は女の人を描くのが好きなので、肖像画は筆が乗った。
多種多様な美しさがあり、見ていて飽きない。
男の人で美しいのって、プロのモデルか、スポーツ選手の機能美だけだと……。
伊吹さんは例外。
お見合い写真を父から見せられて、母は美男子だと、お見合いする私より、何故か喜んでいた。
確かに、美男子だと思ったが、いくらでも加工が出来るから、期待はしてなかった。
実物に会ったら、写真と全く同じ。
写真より、動いてる実物の方が、魅力的に見えた。
伊吹さんは私より、五歳年上である。
今まで、婚約者もおらず、結婚してなかったのが意外だ。
伊吹さんに求婚した女の人は、多そうなのだが。
一度目のデート、大きな公園に行った。
伊吹さんは休みの日、資格の勉強をしてるらしい。
勤勉で素晴らしい。
私から手を繋ぐと、振り解かれなかった。
伊吹さんの手は大きくて、男の人の手だった。
スワンボートに乗った後、公園内にあるカフェで休憩する事に。
緑に囲まれたテラス席で、気持ちが良かった。
私はお腹が空いてたので、ハンバーガーを注文した。
婚約者と食べるメニューではなく、チョイスをミスった。
大口を開けるのは憚られ、ナイフとフォークでお上品に食べた。
伊吹さんは珈琲を注文して、砂糖とミルクを入れずブラックで飲んでいた。
帰りは伊吹さんに、桔梗荘まで車で送ってもらった。
当たり前のように高級車で、乗り心地が良かった。
手を繋いだだけで、キスはしなかった。
「デート、どこに行ったの?」
蘭々さんはうつ伏せのポーズを取っていて、乳房が押し潰されて横に広がっていた。
蘭々さんの胸は、乳輪が大き目で、乳首は上を向いてる。
私がポーズを指定してお願いする事が多いが、蘭々さんは男を挑発するような、M字開脚をしたり、過激なポーズをしてくれた。
秘部が丸見えで、良く見えた。
美大生だけでなく、著名な先生のモデルもしてるので、蘭々さんは忙しい。
画家、彫刻家、写真家など、芸術家は蘭々さんの虜に。
私も、蘭々さんの虜になってる一人だ。
「公園に行きましたよ。」
「健全ね。」
「健全過ぎて、良くないですよね。」
「色気には欠けるけれど、誠実で良いんじゃないかしら。」
そんな話をしながら、デッサンを終えた。
私は蘭々さんの勃起してる、乳首に吸い付いた。
魔性の女って、言葉がぴったり。
蘭々さんの魅力にハマった。



