甘い夢に揺蕩う



凛の部屋に入るのは、小学校の三年生ぶりだった。

凛がお父さんの仕事の都合で転校してしまい、高校二年生の春に戻って来たけど、部屋に上がる機会はなかった。

私が、無意識のうちに避けてたのかな。

凛の部屋には、思い出がある。

大切な思い出がいくつも。


それもあったが、幼馴染とは言え、高校生の男女が部屋に、二人きりになるのは、良くない状況だと。

私には瑞樹先輩がいた。

彼氏に悪い。

けど、凛に告白された、抱き締められた事は言わなかった。

隠したかったのかな。二人だけの秘密に。

悪い彼女だった。


……部屋の中は、そんなに変わってなかった。

高校の教科書とか辞書が増えて、カーテンとシーツは初めて見るもので、新調したんだろう……。

凛のお父さんは大学の偉い研究者で家にいなくて、凛のお母さんはパートに出掛けていて、いなかった。


瑞樹先輩と別れて、慰めて欲しかった。

凛から私に手を伸ばした。

私は、その手に縋った。