おひめさまごっこ

衝動に駆られて、目の前のかわいい生命体を抱きしめようとした矢先。


どこかおぼろげだった私の視界は、突如として鮮明になり私の部屋の天井を写した。


「…夢、か。」


ずいぶんと昔の記憶をなぞった懐かしい夢だった。その記憶が何年前だったか、指で数えると、ぴったり両手におさまった。10年も前らしい。


枕元に目を向けると、勝手に目が覚めたせいで、時計はまだ起きるには少し早い時間を表示していた。もう一度寝ようかなって思ったけど、今から二度寝したら寝坊して慌てまくることはわかりきっているので、仕方なく起きることにした。割と英断だと思う。


「…」


ちなみに、早く準備を始めるという用意周到な考えは私には一切ない。だから、今することが本当に何もないのだ。何しようかな。


そういえば、さっきの夢の続きは…私の記憶だと確か私が抱きしめたら、ちづ顔真っ赤にしてめっちゃ照れちゃうんだよね。でも抱きしめ返してくれるの。あーあの時のちづほんと可愛かったなー。


…そうだ。せっかくだしあれ(・・)見よう。


名案を考えついてしまった私は、すぐにベッドから起きあがって、ずっと開かれていなかった、小さい方のたんすの一番下の引き出しを開いた。


「うわー、懐かしい!!」