家の近くまで来る。
いつもの分かれ道。
「じゃあ、また明日」
蓮がいつものように言う。
「うん。また明日」
手を振る。
蓮が歩いていく。
私はその背中を見ながら、今日のことを思い返していた。
一緒に教室を出たこと。
コンビニでお菓子を選んだこと。
公園で少し休んだこと。
くだらない話をしたこと。
どれも、特別な出来事じゃない。
それでも。
今日はいつもより、全部が大切に感じた。
好きになったから。
きっと、それだけじゃない。
私は蓮と過ごす時間そのものが、好きなんだと思う。
何かをしなくてもいい。
話しているだけでもいい。
隣を歩いているだけでもいい。
そういう時間が、これからも続いてほしい。
そんなふうに思えることが、少し嬉しかった。
そして。
ふと、別のことが頭に浮かぶ。
――蓮は、どうなんだろう。
私と一緒にいる時間を、蓮はどう思ってるんだろう。
今までなら、そんなこと考えなかった。
幼なじみだから。
一緒に帰るのが当たり前だから。
そう思っていた。
でも今は。
自分が蓮を好きだと分かったからこそ、少しだけ気になった。
「……蓮にとって、私はどんな存在なんだろう」
小さく呟いてみる。
答えは、もちろん分からない。
ただ。
その疑問が浮かんだことだけは、もう消せなかった。
