帰り道の途中にある小さな公園の前で、蓮が足を止めた。
「ちょっと座る?」
「いいよ」
ベンチに並んで座る。
夕方の公園には、子どもたちの声が少し聞こえていた。
私は買ったお菓子を開けて、一つ口に入れる。
「おいしい?」
「うん」
「一個ちょうだい」
「自分で買えばよかったじゃん」
「一個だけ」
「しょうがないな」
袋を差し出すと、蓮が一つ取る。
「ありがと」
「どういたしまして」
そんなやり取りが、なんだか嬉しい。
何気ないことなのに。
蓮が隣にいることが嬉しくて。
一緒に笑えることが嬉しくて。
帰りたくない、と思ってしまう。
もう少しだけ。
あと少しだけ、この時間が続けばいい。
そんなことを思いながら、隣に座る蓮を見る。
横顔を見ていると、胸の奥がゆっくり温かくなる。
好き。
その気持ちは、もう隠す必要もなかった。
私は蓮が好き。
だから、こんなふうに思うんだ。
一緒にいる時間を、もっと大切にしたいって。
「結菜?」
「ん?」
「どうした?」
「……なんでもない」
私は笑った。
今はまだ、この気持ちを蓮に伝えるつもりはない。
でも。
好きな人の隣にいられる時間を、私はちゃんと大切にしたかった。
