放課後。
教室の時計を見ると、いつもより少しだけ時間が早く感じた。
「結菜、帰る?」
鞄を持った蓮が、私の机の横に立つ。
「うん」
私は急いでノートを鞄にしまった。
最近、放課後になると自然と蓮を探してしまう。
今日も一緒に帰れる。
そう思うだけで、なんとなく嬉しい。
教室を出て、並んで廊下を歩く。
いつものこと。
何度も繰り返してきたこと。
なのに。
好きだと気づいてからは、同じ毎日なのに少しだけ違って見える。
「今日、授業長かったな」
「分かる。最後のほう眠かった」
「寝てたじゃん」
「寝てないし」
「寝てた」
蓮が笑う。
その顔を見て、私も笑った。
こうやってくだらない話をする時間が、私は好きだった。
前から好きだったはずなのに。
今は、その「好き」が少しだけ違う。
蓮と過ごす時間そのものを、大切に思うようになっていた。
