「これ、どこに置く?」
蓮がプリントの束を持って、私を見る。
「えっと……そこじゃない?」
私が指を差すと、蓮も同じ場所を見る。
「ここ?」
「うん」
二人で棚の前まで歩く。
少し狭い場所だった。
蓮が先にプリントを置こうとして、私も手伝おうと隣に入る。
「結菜、そこだと届かないだろ」
「届くよ」
背伸びをして手を伸ばす。
でも、あと少し届かない。
「ほら」
蓮が後ろから手を伸ばして、私の頭の上からプリントを取った。
距離が、一気に近くなる。
「……っ」
すぐ後ろに蓮がいる。
声が近い。
息遣いまで聞こえそうなくらい。
「これでいい?」
「う、うん……」
蓮がプリントを置く。
それだけなのに、顔が熱くなる。
「結菜、今日なんか変じゃない?」
「え?」
「さっきから顔赤い」
「……暑いだけ」
とっさにそう答えた。
蓮は少し不思議そうな顔をしたけれど、それ以上は聞かなかった。
私はほっとしながら、自分の胸に手を当てる。
まだ、心臓が速い。
近かった。
ただ、それだけ。
それなのに、こんなに嬉しくて、こんなにドキドキする。
私は小さく息を吐いた。
――あぁ。
やっぱり、好きなんだ。
近くにいるだけで、こんなに嬉しい。
そのことが、少しだけ恥ずかしくて。
でも、嫌じゃなかった。
