放課後。
教室には、まだ何人かのクラスメイトが残っていた。
私は自分の机の中を整理しながら、帰る準備をしていた。
「結菜」
後ろから名前を呼ばれて、振り返る。
そこには蓮が立っていた。
「今日、日直だったよな?」
「あ、うん」
黒板の端に残っている日直の仕事を思い出す。
「一緒にやる?」
「いいの?」
「俺もまだ残ってるし」
いつもなら、何とも思わなかった。
蓮と一緒に帰ることも。
放課後に少し話すことも。
ずっと当たり前だったから。
でも。
今は違う。
蓮が私の机の横に立っているだけで、胸が少し騒がしくなる。
「じゃあ……お願い」
そう答えると、蓮が小さく笑った。
「ん」
たったそれだけ。
なのに。
――やっぱり、好きだ。
そう思った。
好きだと自覚してから、何度も思っているはずなのに。
そのたびに、少しずつ気持ちが大きくなっている気がした。
