好きだと気づいてから、数日。
少しずつだけど、私はこの気持ちに慣れてきた。
……とはいっても。
蓮を前にすると、まだ緊張する。
朝、教室に入って蓮を見つけると嬉しくなるし。
名前を呼ばれると、今でも胸が跳ねる。
でも、それだけじゃなかった。
最近は、蓮が何気なくしていることまで気になってしまう。
その日の朝も。
教室に着いて席に座った私は、机の中を探していた。
「あれ……」
昨日使ったはずの消しゴムがない。
鞄の中も、筆箱の中も探す。
見つからない。
「どこいったんだろ」
机の周りを見ていると。
「これ?」
声がして、顔を上げた。
蓮が私の消しゴムを持っていた。
「えっ、なんで蓮が持ってるの?」
「昨日、落としてた」
「あ……」
そういえば昨日、帰り際に何か落とした気がする。
「拾ってくれたの?」
「うん」
蓮は当たり前みたいに、消しゴムを私の手のひらに乗せた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
たったそれだけ。
なのに。
私はしばらく、その消しゴムを握ったまま動けなかった。
