放課後。
今日は特に予定もなかった。
いつものように蓮と帰るつもりで、教室で帰り支度をする。
蓮は少し遅れて準備をしていた。
私は鞄を肩に掛けながら、窓の外を見る。
夕方の空が少しずつオレンジ色に変わっていた。
「結菜」
呼ばれて振り返る。
蓮がこちらを見ていた。
「帰る?」
「うん」
教室を出て、いつもの道を歩く。
途中でコンビニが見えてくる。
蓮が少しだけ足を緩めた。
「寄る?」
「いいの?」
「うん」
二人で店に入る。
飲み物を選んでいると、蓮が冷蔵ケースの前で立ち止まった。
「結菜、これ好きだったよな」
指差した先には、私がよく買うアイスがあった。
「覚えてたの?」
「前に食べてた」
そんな前のことまで覚えていたことに、少し驚いた。
「じゃあ、これにする」
私はそのアイスを手に取った。
蓮は自分の分を選びながら、何でもないような顔をしている。
でも、私は少しだけ嬉しかった。
好きなものを覚えていてくれる。
それだけのことなのに。
「蓮は?」
「俺はこれ」
蓮が選んだアイスを見て、私は笑う。
「またそれ?」
「好きだから」
「ほんと好きだね」
「うん」
そんなやり取りをしながら、二人で店を出た。
並んで歩きながらアイスを食べる。
いつもと変わらない帰り道。
なのに今日は、いつもより少しだけ楽しく感じた。
